コラム 2018年

2018/12

年末調整が必要な理由を徹底解説!

11月の終わり頃に、「年末調整の書類を渡すので、期限までに戻してください」と経理担当者から声をかけられた……という経験が、会社勤めをされている方ならおありかもしれません。でも、年末調整って、なぜ必要かご存知ですか?その理由を徹底解説します。

その前に所得税と控除をおさらい

お勤めをしていて、給料をもらっている場合、その金額に応じた所得税を払わなくてはいけません。そして、所得税の計算にあたっては、1)給与所得控除、2)所得控除、3)税額控除の3種類の控除を受ける=金額を差し引くことができます。
まず、1)の給与所得控除とは、お勤めをしている人=会社員・公務員に認められている経費のようなものです。つまり、自分でビジネスをしている人=個人事業主の方が、収入から経費を差し引けるのと同じと考えましょう。
そして、2)の所得控除とは、家族を養う必要がある、病気になった、など、個人の事情によって税金の負担を軽くするために設けられています。
さらに、3)の税額控除とは、住宅ローン控除のように、計算された所得税からそのまま差し引ける金額のことを指します。

年末調整が必要な本当の理由

給料明細を見てみると、所得税が差し引かれているのがわかるはずです。しかし、これは正確な金額ではなく、あくまで勤務先が前年度の所得や情報をもとにして、概算で出したものに過ぎません。
そのため、勤務先は所得控除や税額控除に関する情報を集め、さらに正確な所得税額を計算する必要が出てきます。計算の結果、少なかった場合はさらに徴収しますし、多かった場合は還付される=払いすぎた分が返ってくるのです。つまり、納める税金の金額を年末に調整するためにやるのが、年末調整と考えてください。
なお、年末調整を受けるためには、1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2)給与所得者の保険料控除申告書、3)給与所得者の配偶者控除等申告書の3枚の書類が必要です。
その他、生命保険に入っている場合は保険会社からの書類など、必要な書類があるので、一度経理担当に確認しましょう。
ちなみに、自分が控除を受けられることを知らずに過ごしてしまった場合でも、5年以内であれば還付申告を受けられます。税務署に行くと「所得税の更正の請求書」という書類をもらえるので、それに記入し、該当する年の証明書を添付して提出すれば大丈夫です。事前に一度税務署や税理士に相談してみるとさらに効果的でしょう。     

  2018/11   

【超重要】副業をする人なら知っておきたい税金の話

一つの基準は「年間20万円」

2018年に、厚生労働省により、モデル就業規則の変更が行われました。詳しい内容はここでは割愛いたしますが、これまで原則禁止とされてきた副業を、容認する方向で変更されたのが、大きな違いです。これをきっかけに、副業を始める方もいらっしゃるかもしれませんが、副業を始める前に知っておいていただきたいことがあります。税金の話です。
仕事をして、給料をもらったら、それに見合う税金(=所得税・住民税)を支払わなくてはいけません。会社にお勤めの方なら、税金周りの手続きは会社がやってくれるため、あまり実感がわかないでしょう。しかし、実態は給料から税金分が天引きされている(=源泉徴収)ため、しっかりと税金は払っているのです。
 ひとまとめに副業といっても、実際は
 株、FXなど金融商品への投資
 アパート経営などの不動産投資
 ライティング、スポットコンサルティングなどの業務受託
 Webサイトでのアフィリエイト
など、種類は多岐にわたります。しかし、どういう副業をしていたとしても、「年間の所得(=収益-費用、つまり、入ってきた収入からかかった費用を差し引いたもの)が20万をこえたら、税金を納めなくてはいけないのです。
 文字通り「お小遣い稼ぎ」程度ならともかく、ある程度軌道に乗ってくると、20万円はあっというまに超えてしまうかもしれません。確定申告の準備は早いうちから開始しておきましょう。何から手を付ければいいかわからなければ、税務署に行ってみたり、税理士などの専門家に相談したりするおすすめです。

「会社バレ」を防ぐには?

 副業をしている方の中には、「会社が副業を禁止している」「なんとなく気まずい」などの理由で、会社に副業をしていることを知られたくない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、住民税の払い方を変えることで、いわゆる「会社バレ」は防げます。副業にかかる税金の確定申告をする際に、住民税の支払いについて「普通徴収」を選択しましょう。書類の中に、「自分で納付(普通徴収)」という項目があるので、〇をつけてください。これを行うことで、住民税の納付書が自宅に郵送されるようになるため、(住民税の扱いがきっかけで)会社に副業が知られることはありません。
 しかし、税金経由で会社に副業が知られることはないといっても、本業に支障が出るほどのめりこんでしまうのは、本末転倒です。ご自身のワークライフバランスを考えながら取り組んでいきましょう。

2018/10

相続税が払えない!その時できることは?

ご存知の方も多いかもしれませんが、相続税は金銭納付=現金一括支払いを前提としています。
そのため、相続税が払える程度のまとまった現金を用意する必要がありますが、

 相続した土地が思うように売れない
 思っていたより相続税の額が多く、用意していた現金の額をオーバーしそう

など、どうしても期限までに払えないことだってあり得ます。
そうなった場合にできることとして「延納」と「物納」をご紹介します。

延納とは?

簡単にまとめると、「担保を提供したうえで、相続税を分割で納付すること」です。
本来の相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書や担保提供関係書類を添付して、税務署長に提出します。
ただし、延納したい相続税額が100万円未満かつ延納したい期間が3年以下であれば、担保は必要ありません。
なお、延納できる期間は、相続財産に占める不動産の割合によって異なります。
最長5年から20年(特定の森林については40年)と幅があるため、事前に確認しましょう。

物納とは?

先ほど触れた延納は、あくまで「分割だけど、現金で払う」ものです。
しかし、それでも現金が用意できないなどの理由がある場合に、申請を行うことで、現金の代わりに一定の財産で相続税を払うことができます。
これが物納です。ただし、もの=財産なら何でもいいわけではなく、「金銭交付が困難であり、延納によっても払えないと認められた」場合にのみ、物納が使えると考えてください。

なお、物納に使える財産の内容と順位は国がすでに定めています。
第1順位のものから先に使っていく、と考えてください。

 第1順位
国債、地方債、不動産、船舶

 第2順位
社債(特別の法律により法人の発行する債券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
株式(特別の法律により法人の発行する出資証券を含みます。)
証券投資信託又は貸付信託の受益証券

 第3順位
動産

「無理かも……」と思ったら

延納も物納も、実際に行うには税務署長に書類を提出しなければいけないため、簡単にできることではありません。
相続税が支払えるほどの現金を用意しておくのが一番ではありますが、どうしても無理なことだってあります。
もし、「無理かも……」と思ったら、すぐに税理士などの専門家に相談しましょう。     

2018/09

消費税は10%に!併せて知りたいマイホームの話

ところで、いつから10%に?

「消費税率が10%に引き上げられる」という話をご存知の方は多いでしょう。
でも、「2019年10月1日から」と即答できる人は、それより少ないかもしれません。
現行では「消費税6.3%+地方消費税1.7%」の8%ですが、
これが「消費税7.8%+地方消費税2.2%」の10%になります。
事業を営んでいる方は、税率の変化を見据えて、会計システムの見直しなどを早めに行いましょう。
特に、軽減税率が適用される業種(飲食業など)の方は、計算の仕組みや対象品目も含め、流れを把握するのをおすすめします。

時期をいつにするかがポイント

また、消費税が増税される前に、マイホームの購入を検討されている方もいらっしゃるでしょう。ここでポイントになってくるのは、「いつ、契約を締結するか」です。
「2019年3月31日までに契約を締結すれば、
引き渡しが2019年10月1日以降でも、消費税率は8%が適用される」
と覚えておけば十分でしょう。

ここでもう一つ知ってほしいことがあります。マイホームを購入するためにご家族から資金の贈与を受ける場合(=住宅取得資金の贈与)、贈与税が非課税になる制度があります。
実はこの制度の扱いも、「契約を締結した時期」によって、非課税になる金額が違ってくるので、覚えておきましょう。

簡単にまとめてみました

わかりやすくするために、
簡単にまとめてみました。

マイホームを購入するときは、
「いつ、契約を締結するか」も大事になってきそうですね。


1)消費税が8%の物件の非課税枠

2016年1月1日~2020年3月31日  
・700万円(一般住宅)
・1200万円(一定基準を満たす住宅)

2020年4月1日~2021年3月31日
・500万円(一般住宅)
・1000万円(一定基準を満たす住宅)

2021年4月1日~2021年12月31日 
・300万円(一般住宅)
・800万円(一定基準を満たす住宅)

2)消費税が10%の物件の非課税枠
(2019年4月1日以降)

2019年4月1日~2020年3月31日 
・2500万円(一般住宅)
・3000万円(一定基準を満たす住宅)

2020年4月1日~2021年3月31日 
・1000万円(一般住宅)
・1500万円(一定基準を満たす住宅)

2021年4月1日~2021年12月31日 
・700万円(一般住宅)
・1200万円(一定基準を満たす住宅)

ちなみに、「一定基準を満たす住宅」とは、
次のいずれかを満たす住宅です。


・断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
・高齢者等配慮対策等級3以上

どういうことをすれば条件を満たすかは、
不動産会社など、専門家に相談してみましょう。

2018/08

デジタル遺品に要注意!今できることは?

結構面倒くさいですよ?

今や、どんな年齢の方でも、スマートフォンやタブレット、パソコンを持っているのは珍しくなくなりました。
これらの道具を使い、大切な写真を保存したり、昔からの友達と交流したり、はたまた、昔なら銀行や証券会社の窓口に行かないとできない手続きをしたり、という方もいるでしょう。
でも、考えてみてください。
それって、あなたが元気だから、問題なく使えているのではありませんか?
失礼ですが、あなたに万が一のことがあれば、パスワードがわかる人がいない限り、結構面倒くさいことになるのです。
このように、スマートフォンやタブレット、パソコンそのものや、それらのデジタル機器を介さないと使えない遺品を、デジタル遺品と言います。

ネット銀行・証券にはご注意

ご存知の方も多いはずですが、大切な方が亡くなり、銀行にその旨が知られてしまうと、その方の銀行口座は凍結されてしまいます。
これは、「遺産をどう分けるかが決まってない段階で、遺産が好き勝手に使われないように」という意味で設けられている制度です。
しかし、現実的には、葬儀の準備や何やらでまとまったお金が必要になるのは珍しくありません。
お別れの時が近づいていたら、準備を始める方もいるでしょう。
このとき、店舗を構えている銀行なら、ご遺族が印鑑と手帳を持って銀行の店舗に行けば、お金を引き出すことはできます。
しかし、大切な方が、ネット銀行に多額のお金を預けていた場合注意が必要です。
ネット銀行は通帳がない場合注意がほとんどなので、個人用サイトにログインできないと、いくらお金があるかもわかりません。
同じ理由で注意が必要なのが、ネット証券です。
例えば、ネット証券の講座にたくさん株式などの金融資産を持っていたものの、その事実を家族が知らないのは、十分にあり得ます。
相続が開始してからすぐにわかったならともかく、相続税の申告期限ギリギリの場合にわかったなら、相続財産の金額が変わってしまうおそれがあるの、で要注意です。

事前の準備が大事

こういう事態を防ぐには、「万が一のときはこれを見てほしい」というリストを作ることです。
エンディングノートは理想ではありますが、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの電子機器や、ネット銀行・ネット証券などの金融機関のオンラインサービスに関する情報は一覧にしておくといいでしょう。
また、金融機関ではありませんが、SNSを使っている場合も注意が必要です。連絡用のためにアカウントを残してほしいのか、削除してほしいのかを含め、ご家族と話し合うのをおすすめします。
     

2018/07

高価なプレゼントに注意?!知っておくべき贈与税のあれこれ

プレゼント=贈り物にも税金はかかる

「子供の大学合格祝いに、車を買ってあげようと思うんだけど……」このように、ご家族の間で高価な贈り物をすることはあり得るでしょう。しかし、一つ注意していただきたいことがあります。
贈り物の金額が一定以上を超えたら、「贈与税」と言って、税金がかかるのです。さらに、課税方法=どうやって税金を計算し、払うかについても、「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの制度があります。

暦年課税とは?

暦年課税とは、1年間に贈与を受けた財産の合計額を基にして贈与税の額を計算し、課税する方法のことを言います。なお、暦年課税を用いる場合、基礎控除額は毎年110万円です。
簡単に言ってしまえば、1年につき110万円までの贈与なら、贈与税は払わなくていいことになります。
なお、具体的にいくら贈与税が課せられるかを計算するにあたっては、適用される税率が密接にかかわってきます。実は、「誰が誰からもらうか」によっても、税率が違うのです。
直系尊属(父母、祖父母など)以外の贈与者(=あげる人)から贈与を受けた場合や受贈者(=もらう人)の年齢が20歳未満の場合は「一般税率」、直系尊属である受贈者から贈与を受け、かつ、受贈者の年齢が20歳以上の場合は「特例税率」が適用されることを覚えておきましょう。

相続時精算課税とは?

一言でまとめてしまうと、「贈与したときに贈与税を払い、贈与者がなくなった時には、贈与財産を含めて相続税を計算し、計算された相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払う(または還付を受ける)」制度を言います。
相続税の仮払いとしての性質も強いため、暦年課税よりは利用できる人の条件が厳しくなっているのが特徴です。まず、贈与者は60歳以上の親または祖父母、受贈者は贈与者の推定相続人(現状のままで相続が開始した場合、相続権が生じるとされる人)である20歳以上の子または孫です。条件に当てはまる人の間で贈与を行った場合、2,500万円までの贈与には贈与税がかからず、2,500万円をこえる部分に20%の贈与税が課されます。
一度に多額の贈与ができるため、財産移転をスムーズに行うのに役に立つ制度です。しかし、一度この制度を選択してしまうと暦年課税には戻せないうえに、金額にかかわらず毎年贈与税を申告する必要があります。
さらに、贈与財産は相続時に物納できないため、場合によっては相続税が支払えないという事態を招くのです。

「どうすればいいのか」は事前に相談すること

一口に贈与税といっても、暦年課税を選択するべきか、相続時精算課税を選択するべきかは、状況によって異なります。ご自身だけでの判断も難しい場合もあるので、「どうすればいいのか」迷った時点で、専門家のアドバイスを仰ぐのも効果的でしょう。
     

2018/06 

 「金持ちケンカせず」は本当だった?

「金持ちケンカせず」とはよく言うけれど

昔から広く使われている「金持ちケンカせず」という言葉があります。この言葉を「金持ち=資産家はトラブルを起こしにくい」という意味で解釈し、本当にそうなのかを検証してみたいと思います。
トラブルといっても色々ありますが、ここでは「お金のトラブル」の一つとして、遺産分割を取り上げてみましょう。裁判所が発表している司法統計のデータを見たところ、面白い事実が浮かび上がりました。
平成28年のデータですが、「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)」では、遺産価額ごとの遺産分割事件の数を集計しています。遺産分割事件の総数7485件のうち、遺産(相続財産)の価額が5,000万円以下の件数は、5,683件でした。
割合にすると約75%です。つまり、ケンカ=遺産分割事件のほとんどは、(失礼な言い方ですが)「金持ち以外の人」が起こしているといっても過言ではないでしょう。

金持ちはなぜケンカしないのか?

遺産分割事件のデータからもわかるように、相続財産の金額が少ない場合でも、十分にトラブルは起こり得ます。「うちはそれほどお金があるわけでもないから、大丈夫だよね」と油断していると、あとが大変になる可能性もあるのです。
逆に、金持ち=ある程度の相続財産を有している場合は、事前に対策を講じています。
将来紛争が起きないように、あらかじめ税理士などの専門家に相談するのは珍しくありません。
誰だって、ケンカはできることならしたくないはずです。相続トラブルという「家族最大のケンカ」を避けるためにも、事前にできることはやっておきましょう。

まずは「話し合い」から

相続トラブルを避けるための第一歩は、「話し合い」です。できれば、家族が集まるタイミングを見計らって、相続の話を切り出してみましょう。
「死んだあとのことを話すなんて」と思うかもしれませんが、家族がもめてしまう姿を想像すると、もっとつらくなりませんか?伝え方には配慮が必要ですが、「家族が幸せに暮らすため」という点を強調すれば、応じてくださる方も多いのではないかと思います。
「そうはいっても、自分たちだけでは何を話せばいいかわからない」という方は、税理士などの専門家に一度相談してみてください。「どのタイミングで何をすればいいか」も含めて、的確なアドバイスをしてくれるはずです。

2018/05

土地の値段って、どうやって決まるの?

マイホームを建てるのを決めたり、大切な方を見送ったりした場合、土地の購入・売却も行うのは珍しくありません。でも、土地の値段って、どうやって決まるかご存じですか?

「一物四価」ってなんだ?

この文章をお読みの方の中には、「一物四価」と言う言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。わかりやすく言うと、「一つのものに対して、四種類の価格がある」という意味です。土地の場合、「一つの土地に対して、四種類の価格がつく」ことを指します。

具体的には
● 実勢価格
● 公示価格
● 相続税評価額(相続税路線価)
● 固定資産税評価額(固定資産税路線価)
の4つが含まれるので、それぞれについて解説しましょう。

実勢価格

わかりやすく言えば「時価」です。不動産会社とのやり取りなど、現実の市場において実際に取引が成立している価格を指します。

公示価格

国土交通省土地鑑定委員会が公表している、毎年1月1日時点での更地価格のことです。
「一般の土地の取引に対して指標を与える」「公共事業用地の取得価格算定の基準となる」ことを目指し、公表されています。土地取引の際の参考価格としても、広く用いられている数値です。
なお、公示価格は、国土交通省のホームページからも閲覧できるので、一度見てみましょう。

相続税評価額

相続税や贈与税の税額を計算するために使われるものです。先ほど紹介した公示価格の80%を目安に決定されています。
なお、相続税評価額は国税庁のホームページから閲覧できるので、こちらも併せてご覧になってみるといいでしょう。

固定資産税評価額

固定資産税、都市計画税、不動産取得税など、不動産に関連した税金を課税する際に基準となる評価額です。先ほど紹介した公示価格の70%を目安に決定されます。
ご自身の保有する土地等の固定資産税評価額は、課税証明書から確認できます。
固定資産税の納税通知書に添付されているので、届いた時点でチェックしてみましょう。なお、権利者であれば、市区町村の役場に行って固定資産税評価額を確認するのも可能です。
あなたが納税義務者、相続人であれば、権利者に当てはまります。

目的によって全く違うのです

ここまでお読みいただいた通り、土地の評価額は「どういう目的で使うか」によって、まったく違ってきます。
まず、土地の評価額を知りたい理由が何かを明らかにし、そこからリサーチを進めてください。ご自身だけではわからない場合は、専門家に相談するのをおすすめします。

2018/04     

「会社を作る」と考えたときに、済ませてほしい4つのこと

会社設立の基本的な流れ

「ビジネスを始めよう」と思った場合、個人事業主として始める場合もあれば、会社を設立して始める場合もあるかもしれません。
その際の基本的な流れを説明しましょう。
一般的には、次の6つのステップを踏むと考えてください。

1)基本事項の決定
2)定款作成
3)資本金の払い込み
4)登記書類作成
5)登記申請
6)登記後の各種行政などの手続き

このすべてのステップを詳しく説明すると大変です。
そこで今回は、会社設立登記を行う前に、最低限済ませておきたい準備についてお話します。

次の4つは必ずお済ませください

いざ、会社設立登記を行うとなると、かなり忙しくなりますが、最低限次の4つは済ませましょう。

1)商号を決定する
平たく言ってしまえば、会社の名前です。
基本的に、ご自身の好きな名前を使って構いませんが、次の2点にはご注意ください。

● 同じ住所に同じ商号が既にある場合は、登記できない。
● 銀行を営んでいるわけでもないのに「銀行」という名前を使うなど、混乱を招く名前は使えない。

2)印鑑を作成する
登記手続きを行うときには、申請書を提出します。
この際、会社の代表印が必要になるので、早めに準備しましょう。
長く使うものなので、定評のあるお店で作ることをおすすめします。

3)役員報酬額を決める
役員報酬は、原則として経費にはできません。
つまり、役員報酬をいくらにするか次第で、会社が払う法人税および代表個人が支払う所得税も変わります。

4)資本金の額を決める
株式会社の場合、最低資本金は1円となっています。
つまり、1円から株式会社が作れるわけですが、あまりに低すぎる資本金も考え物です。
本来、資本金とは株主を発行することで集めた資金を指しており、会社が業務を行うための元手になるお金です。
いきなり高額な資金を集めるのも難しいですが、さすがに少なすぎると何もできないのも事実でしょう。

実際の手続きは専門家におまかせしましょう

ここまでお読みになった方は、「事前の準備だけで、大変そう……」と思われたかもしれません。
しかし、どれも慎重にやらないと、会社設立にまで到底たどりづけなくなります。
会社設立手続きをスムーズに進めていくためには、税理士などの専門家の手助けがあった方が、心強いでしょう。
「会社を作る!」と決めたら、早い段階から専門家に相談するのをおすすめします。
     

2018/03

「会社を作りたい」と相談されたら……新創業融資制度を!

正直、金融機関からの融資は厳しい

「新しいサービスを世の中に送り出したい!」
「自分がやりたいことで、人を喜ばせたい!」
このような前向きな志がある方から相談を受けると、「何とかして力になりたい……」と思う方は多いのではないでしょうか。

しかし、現実的には「お金の壁」が立ちはだかります。相談してくださった方自身で用意できるなら問題はないのですが、そうでない場合、「お金をどうするか=資金をどう調達するか」が問題となります。

民間金融機関には期待できない

ここで覚えておいていただきたいのは、「銀行、信用金庫などの金融機関からの融資は、あまり期待できない」という点です。金融機関は営利事業である以上、「返済の見込みがあるかどうか」を最重要視します。そのために、過去の決算書や事業内容を精査し、厳正な審査を行うのです。

今まで事業を立ち上げた経験がない人が、金融機関から事業資金の調達を行うのは難しいでしょう。


日本政策金融公庫を活用しよう

そこで、「新しく一から事業を立ち上げられる人が利用できる融資制度」が必要となります。
この趣旨に基づき運営されているのが、日本政策金融公庫の創業融資制度です。
一言でまとめると、日本政策金融公庫の様々な融資制度を無担保・無保証人で利用できます。
担保や保証人を用意できない人でも、融資を受けられるのが大きなメリットです。
この制度を利用できるのは、次の3つの要件をすべて満たす人の身となっています。
● 新たに事業を始める、または、事業開始後税務申告を2期終えていない。
● 雇用を創出する見込みがある
● 創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる(※例外あり)
条件を満たしていれば、最大3,000万円まで資金調達ができるので、知っておくと便利です。

事業計画書などの書類がカギ

なお、新創業融資制度を使う場合、事業計画書などの書類に基づいて審査をします。そのため、書類に不備があったり、形式上の不備はないにしても、わかりにくい内容だったりした場合、審査において不利になります。一度審査に通らなかった場合でも、一定の期間を置いて書類を再提出すれば、審査に通る可能性はありますが、できれば一度で通った方がいいのは言うまでもありません。

そうなると、最初の手続きをどれだけ綿密に進めるかがカギとなります。書類を作成するのも含め、新創業融資制度を使う場合には、税理士などの専門家のサポートを受けながら進めるのが望ましいでしょう。
     

2018/02     

個人事業を始めたらすぐに提出したい2つの書類

「自分で独立してビジネスを始めよう!」と思ったとき、必ず済ませておく必要があるのが、税金周りの手続きです。
そこで、必要になる書類と提出方法について、解説しましょう。

個人事業の開業届
まず、ビジネスを始める=新たに事業を開始したときには、個人事業の開業届を納税地を所轄する税務署に提出します。
自宅で開業する場合は、最寄の税務署に提出すれば大丈夫です。
事業を開始してから1か月以内に提出しましょう。
国税庁のホームぺージから用紙をダウンロードして記入し、税務署に郵送するか、持参して提出すれば問題ありません。
もし、書き方がわからない、という場合は、一度税務署に出向き、職員の方に手伝ってもらいながら書きましょう。

青色申告承認申請書
個人事業の場合でも、得られた利益の額に応じて、所得税を支払わなくてはいけません。
会社員など、「どこかから給料をもらって生計を立てている人=給与所得者」とは違い、個人事業主の場合は、自分で納めるべき税金を計算し、申告しなければいけないのです。
この時、青色申告を選択すると、節税に非常に役立ちます。
つまり、事前に届け出を行い、複式簿記で帳簿を付けるだけで、次のような節税効果が期待できるのです。
1)赤字を3年間繰越できる
個人事業を始めても、最初からうまくいくわけではありません。
当然、赤字になることもありえますが、その場合、翌年以降に繰り越して、黒字と相殺できます。
2)貸倒引当金を設定できる
売掛金が回収できなくなる場合を想定し、まだ回収していない売掛金の一部を貸倒引当金として費用にできます。
費用が増えると、利益が減るので、税金も減るのです。
3)減価償却を一括計上できる
パソコンなど、高価格の備品を購入した場合、一般的には10万円以上になると、減価償却を行わなくてはいけません。
しかし、青色申告の場合は、30万円未満のものは一括計上できます。
1年で合計300万円まで可能です。
4)家族に給料を出せる
奥様(ご主人)などのご家族に仕事を手伝ってもらい、給料を出す場合、その給料(専従者給与)も経費にできます。
ただし、同時に青色事業専従者給与に関する届出書を提出しないといけません。

複式簿記は難しくない
これまで帳簿を付けたことがない方ならは「複式簿記って難しそう……」と思われるかもしれません。
しかし、今は初心者の方でも操作しやすい会計ソフトはたくさん出ているので、それを使えば、十分に青色申告はできます。
また、個人事業主の青色申告のサポートを行う税理士も多くなっていますので、「自分でできる自信がない」という方は、一度相談してみましょう。
     

2018/01

e-Taxってなに?使いこなすために知っておきたいメリット・デメリット

e-Taxとは?

こe-Taxとは、国税電子申告・納税システムの愛称で、インターネットを経由して申告から納税までを済ませられるシステムのことを言います。平成15年度から開始され、徐々に一般的になってきています。財務省の統計によると、所得税の申告の場合、平成28年度は約990万件がe-Taxを通じて行われていました

参照 http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_kensu.htm

しかし、「e-Tax」という単語自体は知っていても、一体どんなメリット・デメリットがあるのか知らない方も多いかもしれません。そこで今回は、メリットとデメリットについて、しっかり解説しましょう。


e-Taxのメリット
e-Taxのメリットは、次の3つです。
1.自宅から24時間確定申告ができる
インターネットにつながっているパソコンさえあれば、確定申告期間中は24時間手続きが行えます。ただし、毎種月曜日の午前0時から午前8時半まではメンテナンスのため、利用できません。税務署に行く時間を省けるので、忙しい方にとっては重宝するシステムでしょう。
2.書類を提出する必要がない
税務署の窓口や郵送で確定申告を行う場合、添付書類を提出する必要がありますが、e-Taxではその必要はありません。ただし、後から入力内容の確認のために、必要に応じて税務署に提出・提示する可能性もあるので、手元に用意しておきましょう。ちなみに、国税庁のホームページに、提出を省略できる書類の例が記載されているので、参考になさってください。
参照 http://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/kakutei/tempu01.htm
3.還付までのスピードが速い
一般的に、還付を受ける際に、e-Taxを使って電子申告した場合の方が、通常の書面提出による申告の場合より、処理までのスピードが速いといわれています。書面の場合が1か月程度であるのに対し、電子申告の場合は3週間程度で済むようです。ただし、実際にどれだけかかるかは、個々のケースによって異なる場合もあるので、ご注意ください。

e-Taxのデメリット
一方、次のようなデメリットもあります。
1.準備に時間とお金がかかる
e-Taxはやろうと思ってすぐにできるわけではありません。
公式ホームページによると、次の5つのステップを踏む必要があります。
1. 利用環境の確認
2. 電子証明書の取得
3. 開始届出書の提出
4. 利用者識別番号の取得
5. 各種ソフト等のインストールおよび設定、申告書・申請書の作成・送信
また、電子証明書の取得の際には、ICカードリーダライタが必要になります。(家電量販店などで3,000円程度で購入できます。)初めて取り組む場合は、システムを理解した上で設定を行う必要があるので、「思い立ったらすぐに始められる」ものではないことも理解しておきましょう。